KAGRAで日本の重力波の研究はどう変わる？
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私が尊敬してやまない故アインシュタイン爺の最後の宿題と言われていた「重力波」の直接観測に成功したことは、物理学、天文学の歴史的な出来事となりそうです。しかし日本の研究チームがアメリカのLIGOチームに先を越された感があってちょっと悔しい気もしています。日本でも次世代望遠鏡と言われる、大型低温重力波望遠「KAGRA」が間もなく運転開始の予定でしたので、ひょっとすると日本が今回の称賛を受けていたかもしれませんし。
これから、世界の関心は重力波の検証結果にシフトしていくと考えられますが、今後日本がこの検証にどのように絡んでいくのか、そもそも日本の技術レベルはどの程度なのか、非常に気になるところです。ということで今回の記事では、日本の重力波の研究はどこまで進んでいるのか？次世代望遠鏡KAGRAとは何ぞや？といった事について書いていきます。
日本の重力波の研究プロジェクト「KAGRA」って何？
日本では重力波の研究を専門的に行うKAGRAプロジェクトが進められています。この計画の代表者は、2015年にニュートリノでノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏。
かぐら（KAGRA)プロジェクトは、世界でまだ誰も捉えたことがない重力波を年に数回程度観測することを目指した日本の実験計画です。この計画は、東京大学宇宙線研究所を中心として、われわれ重力波プロジェクト推進室、高エネルギー加速器研究機構 など国内外の多くの大学、研究機関が協力して推進しています。
話題の大型望遠鏡KAGRAもこのプロジェクトの一環として建設されています。
大型低温重力波望遠鏡KAGRAとは？
重力波の観測には、重力波望遠鏡という独特の設備が使われます。この設備の質の高さが研究の進み具合に直結します。現在、日本における重力波観測は国立天文台に設置されているTAMA300で行われています。世界最高感度を誇る望遠鏡ですが、それを上回る能力を持ったKAGRAが岐阜県飛騨市の神岡鉱山跡に2017年の運転開始に向けて建設されています。
神岡鉱山と言えばそう！スパーカミオカンデが設置されている場所ですね。カミオカンデは一般見学が可能、KAGRAが出来上がったらもしかすると見学できるようになるかもしれません。
ここで重力波望遠鏡「KAGRA」をLIGOの望遠鏡を比較してみます。
出典：LCGTプロジェクト
かぐら（KAGRA)は望遠鏡という名前は付いていますが、光学望遠鏡や電波望遠鏡とは大きく違っており、レーザー干渉計を使用しています。このレーザー干渉計では重力波の検出原理で解説されているような原理を使って、時空のひずみを測定します。
KAGRAは、レーザー干渉計を利用した望遠鏡で、LIGOで使われているものと同じタイプの重力波望遠鏡です。LIGOとの違いから見たKAGRAの特徴は、
１．鏡を冷却してノイズによる振動を抑えている（－250℃！）
２．地下に設置することで地面振動による影響を抑えている
事等が挙げられます。距離を測定する必要があるため、望遠鏡の長さが長いほどその精度もあがります。LIGOの望遠鏡長さは4㎞に対しKAGRAは3kmですが、上にあげた二つの特徴はそのハンデを補って余りあるメリットと言えます。なので設備的に日本が諸外国に劣っているというのは無く検証実験のスタートラインはほぼ一緒と言えそうです。
KAGRA登場で日本が重力波研究で頭一つリードする可能性も
またKAGRAには100Hz以下での感度が特にずば抜けています。今回LIGOが観測できた重力波は、「二つのブラックホールの公転により発生したもの」で、100Hz以下で観測されやすい特徴があります。という事はこれから同じタイプの重力波を観測することはKAGRAの独壇場になるかも知れないです。すげー。
まとめ
今回の重力波観測ではLIGOに一歩遅れを取った日本ですが、今後の検証作業においてはリードできそうな状況です。検証での世界への貢献が認められると、ノーベル賞もあるんじゃね？と感じています。KAGRAさんの活躍には物凄ーく期待してますよ！
こっから余談です。
LIGOが観測したよ！というニュースを受けて、日本における重力波研究グループ「KAGRAプロジェクト」の梶田代表が公式コメントを寄せていらっしゃって、「LIGO-Virgo が重力波信号を発見したことを心より祝福します。これは重力波および一般相対性理論の研究者が待ち望んでいた歴史的快挙です。」とのこと。日本が勝った、負けたなんて視点でこのことを考える自分の心の狭さと、宇宙の広さとを比較して恥ずかしくなった次第です。あー恥ずかしい。
