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ほんと気になるニュースってたえませんよね

10年相対生存率とは?国立がん研究センターの発表で今後のがん治療はどう変わるか

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国立がん研究センターから「がんの全臨床病期の10年相対生存率」が発表されたわけですが。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

恥ずかしながら私は医学関連情報に疎いです。そのため10年相対生存率って言葉がそもそもわかりませんし、このデータが明らかになったことで未来のがん治療にどんな影響があるのかさっぱりです。とはいえ自分とは関係のない事とは言えない、むしろ関連性が高いニュースだと思う訳です。そこで後々の為に10年相対生生存率って何?って所からこの発表によってがん治療がどのように変わるのか調べてみました。

 

 

相対生存率と生存率ほどう違う?

ここからかよ、と聞こえてきそうですが、まずは相対生存率とは何ぞや?というお話から。

生存率って何ですか?

診断から一定期間後に生存している確率を生存率といい、がん医療を評価する重要な指標のひとつです。

全がん協加盟施設の生存率協同調査 / 生存率Q&A

 

相対生存率:ある集団のある疾患に関して算出した5年生存率(実測生存率)を、その集団と同じ姓、年齢、出生年分布をもつ日本人の期待5年生存率で割ったもの。対象疾患以外の死亡の影響を調整した5年生存率。

がんの死亡率を下げる検診|がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン

 

生存率は分かりやすいんですが、相対~と付くと俄然わかりにくい文言になってきますね。さっそく咀嚼して考えてみます。

例えば60代男性で初期の肝臓がんで治療を受けた人での内、5年後生存している割合が調査によって60%と分かったとします。これが5年生存率(A)。でも5年後亡くなった人の中には肝臓がんが原因じゃなかった人も当然います。なので、純粋に肝臓がんで亡くなった人の割合を算出するためには患者と同じ条件の健康な人の5年生存率(B)と比較してどうなのか調べる必要があるわけです。この二つの割合を比較したものが相対生存率です。

仮に同じ60代男性という条件で、肝臓がんを患ってない人が5年生存する割合が90%だったとします。その場合の肝臓がん患者の5年相対生存率は

0.6(60%)×0.9(90%)=0.54(54%)

となります。

なぜ今まで5年相対生存率が多く使われていたのか?

がんの生存率に関するデータは、全国がん(成人病)センター協議会加盟の施設から集計されたデータから算出されていますが、今までは精度や情報量の面から5年が限度だったという事何でしょうか。

全がん協は、これまで5年相対生存率を算出してきたが、加盟施設のデータが出そろったことなどから、10年相対生存率の公表に踏み切った。

「データが出そろう」というコメントがちょっと引っ掛かってます。今回の発表では施設別生存率は公表されないとのことなんですが、施設によってはデータの提供を拒んだり、公表条件が付けられたりしたことでデータのが集まるのが遅れたんじゃないの?実はもっと早く発表できたんじゃないの?とか勘ぐってしまいますよね。

5年から10年に変わるとがん治療はどう変わっていくのか

素人目には、相対生存率が10年後も分かるようになったことが、がん治療にどう影響するのかいまいちぴんと来なかったんですが、メリットも結構ありそうです。

まずは、ニュースの中で、その意義について千葉県がんセンター研究所の三上春夫所長が語っとのがコチラ。

千葉県がんセンター研究所の三上春夫所長は、10年相対生存率を算出する意義について、「がんという病気は、5年や10年で終わるものではなく、私たちは長い経過の一部を切り取って評価をしている。これにより、がんを長い経過でとらえることができる」と話している。

他にも、部位別がんの5年生存率と10年生存率を比較して「肺や肝臓は再発のリスクが高い」ことなどに注目している記事(下にグラフ添付)などもあり、長いスパンで診ることによってこれから新たな発見がぞくぞく出てきそうな予感がします。今回の国立がん研究センターの発表で、全体的な生存率グラフのいい方向へのかさ上げへの期待も高まりますよね。ということで今回のニュース、今後のがん治療の発展が期待できる良いニュースだったな、と思った次第です。

 

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出典:がん生存率、10年後は58% 3.5万人追跡調査(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース